太宰治を批判した三島由紀夫の「書く心得」

三島由紀夫太宰治を批判した有名な文章がある。

私とて、作家にとっては、
弱点だけが最大の強味となることぐらい知っている。
しかし弱点をそのまま強味へもってゆこうとする操作は、
私には自己欺瞞に思われる。

[・・・]

 太宰のもっていた性格的欠陥は、少なくともその半分が、
冷水摩擦や器械体操や規則的な生活で治されるはずだった。
生活で解決すべきことに芸術を煩わしてはならないのだ。
いささか逆説を弄すると、治りたがらない病人などには
本当の病人の資格がない。


『小説家の休暇』三島由紀夫

厳しい言葉の中に
三島由紀夫の書く者の心得が見える。


「生活で解決すべきことに芸術を煩わしてはならない」


つくる行為は現実逃避ではなく、
生活や身体という現実と常に表裏一体なのだ。



書くことに逃避しすぎない。


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【後記】
身体をいたわる。