ストレス「未」解消のすすめ

ストレスやいいようのない徒労感、
自己嫌悪におそわれることがある。

そういうときは、2つの方法。

1.気分転換をする(ストレス解消)
2.気分を飲みこむ(ストレスキープ)

1はいくらでも方法がある。


でもそれで本当に解消できるだろうか?


世の中には逃げられないことがある。
時間だけで解決できないことがある。

一時的に解消したとおもっても、
またやってくるもの。


そういうときの2。
「気分を飲みこむこと」について。

村上春樹の場合。

誰かに故のない(と少なくとも僕には思える)非難を受けたとき、
あるいは当然受け入れてもらえると期待していた誰かに受け入れて
もらえなかったようなとき、僕はいつもより少しだけ長い距離を走る
ようにしている。

いつもより長い距離を走ることによって、
そのぶん自分を肉体的に消耗させる。
そして自分が能力に限りのある、
弱い人間だということをあらためて認識する。


いちばん底の部分でフィジカルに認識する。


そしていつもより長い距離を走ったぶん、結果的には自分の肉体を、
ほんのわずかではあるけれど強化したことになる。


『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹

怒りとか哀しみともちがう
「やり場のないもの」。

袋小路に残るようなダメージ。


そんなとき、村上春樹は肉体を消耗させる。
弱さを「フィジカルに」認識する。

そうしてすこし強くなれる。

・・・
ぼくも、つかえているものがあると
いつもより長く泳ぐようにしている。
(2000M以上)

やり場のないものはどこへも行かない。

ストレス解消だけですまないことは
自らの器を広げるしかない、と知る。
・・・
忘れないこと、忘れられないことは、
自分の中で飲み込み、キープする。

これが書く素材になる。

ただし、素材をキープできるだけの
フィジカルなつよさ、ストレス耐性がいる。

解消しないで、維持する努力と技術。


けれど、その努力をした人だけが、
本書から引用をしたような共感を得らえる。



ときにはストレスを解消せず、飲みこむ。



過去の自分にオトシマエをつける
http://d.hatena.ne.jp/sotacafe/20090221/1235229043
走ることについて語るときに僕の語ること



【後記】
医龍』の新刊を読む。
人間のメンタルの揺れの描写が巧み。