魂が飢える。
ふと、将来が不安だった25のときを思い出す。
問いよりも恐怖が専攻していた。
現状を説明する余裕はあまりない。
・・・
池澤夏樹さんの「二十歳の頃」というエッセーから。
何も決まっていない。
それは恐ろしいことだ。
自分は何者にもならないかもしれないという予想。
来年の畑の収穫を期待できない農夫の恐怖。
魂が飢える。友人たちはみな安定した生活を保証してくれるコースを選んで、
着実に未来を自分のものにしていったようだった。
ぼく一人が未来を否定形のままにしていた。『セーヌの川辺』(池澤夏樹)
そう、飢える。不安よりも、気持ちの飢餓。
でもこの時に培われたものこそが、
次の一歩を切りひらいたとおもう。
・・・
「不安なんですよね。なんとなく」という言葉に
あまり切迫感がなかったのは、この「飢え」が
感じられなかったからかもしれない。
飢えは共有しづらいし、
共有してしまった瞬間、飢えではなくなる。
▼
「飢え」を育てる。(なるべくひそかに)