今日もぼくらはなにかを失っている

『告白しなかった恋は、どこへいくんだろう。』 


 ロフト(バレンタインのコピー)

人は、事実としての過去よりも
ありえなかった過去にひかれる。

・・・
小説や物語の暗黙のルールに「喪失」がある。

「時を経て失われたもの」があってこそ、
いまあるものの存在意義がわかる。

過去へのけじめがつけられる。

・・・

映画『ニューシネマパラダイス』は、
おさなじみと過ごした日々から大人になり、
別の人生を歩み、互いに年を経て振り返る。

戻らない時間の振り返りが一番の見せ場。


小説では、村上春樹がこれを徹底して書く。
小説の表現は「損なわれたもの」。


今日もぼくらはなにかを失っている。


失われたものを、映画や小説を通じて感じる。
それが、今の糧になる。

国境の南、太陽の西』を読み返しておもう。




ないもの、失ったものを書く。


【後記】
電車内で二人の知り合いと会う。
東京(の山手線)は意外とせまい。