今日もぼくらはなにかを失っている
『告白しなかった恋は、どこへいくんだろう。』
ロフト(バレンタインのコピー)
人は、事実としての過去よりも
ありえなかった過去にひかれる。
・・・
小説や物語の暗黙のルールに「喪失」がある。
「時を経て失われたもの」があってこそ、
いまあるものの存在意義がわかる。
過去へのけじめがつけられる。
・・・
映画『ニューシネマパラダイス』は、
おさなじみと過ごした日々から大人になり、
別の人生を歩み、互いに年を経て振り返る。
戻らない時間の振り返りが一番の見せ場。
小説では、村上春樹がこれを徹底して書く。
小説の表現は「損なわれたもの」。
今日もぼくらはなにかを失っている。
失われたものを、映画や小説を通じて感じる。
それが、今の糧になる。
『国境の南、太陽の西』を読み返しておもう。
▼
ないもの、失ったものを書く。
【後記】
電車内で二人の知り合いと会う。
東京(の山手線)は意外とせまい。