百のプランより一の「かましの一行」

sotacafe2009-01-07

小説家の高橋源一郎さんが
「詩は、記憶に残るフレーズがあることにつきる」
と言っていた。
・・・

詩に限らず、
小説もエピソードもコピーも
全体ではなく、部分の1行、
断片だけが記憶に残る。

全体を読んでも、記憶に残る一語、
一行をつくれるかが勝負。
・・・

人は断片だけを、断片だけで
やりとりしている。

・・・

そうだ 京都、行こう

このコピーで、ぼくの相方は
京都の大学に行くことにした。

一行で、人は動く。


一行で、企画も動く。

僕はいつも企画書を書くとき、
表紙をめくった最初の一行、
ここに「かましの一行」を書きます。
『考えないヒント』小山薫堂

放送作家小山薫堂さんは
お厚いのがお好き?」という
テレビ番組の企画書にこう書いた。

「キミはキルケゴールも読んだことがないのか?」

人を動かすどきっとする一行だ。

では、集約される断片をつくるにはどうするか?

やはり数を出すことだ。

ただし、ただ、数を出すのではなく、
その後に「ベストを選ぶ」。

百本のコピーを考えるよりも、
百本の中から最良の一本を選ぶ方が難しいと思う。
だから、どうでもいいものをたくさん出すのではなく、
ベストなものを一つ出し、決定権のある人が
それに対してイエスかノーかを言う。
そのスタイルが一番いいと思います。

「百のプランより、ベストの一行」(同書)

・・・
以前、広告の仕事をしているときに
企画やコピーの「100本ノック」をした。

睡眠時間を削った割には
一つも採用されないこともあった。

今おもえば、自分に足りなかったのは
この「選ぶ」「決める」ことだった。

拡散したら集約する。
この両方がないと一行は生まれない。

・・・
数を出したら、そこから選ぶ。

そうして生まれるのが一行。
一行の向こう側には
見えない数百行、数千行がある。


「行」。
この一文字がリアルだ。
見える一行に、見えない数百行をおもう。

・・・
添付の写真「募金目標額 六億円」は
初詣に行った大国魂神社で見つけたもの。

これも、一行力。


百出して、一を選ぶ。一行力を鍛える。


【後記】
久々にスーツで自転車通勤。