まず、書く。「自然発生的散文」

『宝島』の伝説の編集長、北山耕平さんが今という時代に
向けて、自らの仕事をふり返った『雲のごとくリアルに』の冒頭、
「本当のことを伝える文体(スタイル)が必要だった」から
「自然発生的散文」という言葉を見つけた。

 その時の意識の流れにできるだけ正直に逆らわないようにして、
 一度書くべきことが決まったら句読点や文の切れ目などに
 気を取られずに一気に書けるだけ書いて言葉を積み上げていく
 「無作為の散文」というスタイルで、このさながらジャズやロックの
 インプロビゼーションのように 『雲のごとくリアルに』 P6

このスタイルを生み出したのは、1950年代後半に『路上』
(新訳本のタイトルは『オンザロード』)を書いたジャック・ケルアック

「ビートジェネレーション」と呼ばれる旅をする青年時代の、疾走するような文章。
 このスタイルが、後に他の作家や、ジャーナリストに影響を与えた。

書くための第一歩は、このおもうがままに書く
「自然発生的散文」の文体(スタイル)を持つこと。

遠慮せずに、おもうがままを書く。

人の目を気にするのはもう少しあとでいい。
書き続ける中で、見えてくるものをまずつくる。

書くことの一歩であり、
書き続ける上での一番重要な「エンジン」。

本書の冒頭はこう締めくくられている。

 キーボードを叩け。
 そしてあふれ出す活字で時代を編集してみせてほしい。
 ぼくはいまだに正直なメディアの登場を夢見ている。

雲のごとくリアルに 長い距離を旅して遠くまで行ってきたある編集者のオデッセイ 青雲編 (P-Vine BOOks)

※本書の冒頭は、北山さんのブログ「Native Heart」で読めます。
http://native.way-nifty.com/native_heart/2008/03/post_d327.html


あれこれ考える前に「まず、書く」スタイル、習慣をつくる。