【世代間コミュニケーション】『職場を悩ます ゆとり社員の処方せん

職場を悩ます ゆとり社員の処方せん

著者より献本御礼。

池谷さんは、社会人のキャリア開発から
全国の小中高までの「総合的な学習の時間」の
キャリア開発から指導まで行う現場教育のプロ。

池谷さんの所属するウィル・シードは、学生時代、
会社の立ち上げ当初にインターンをさせていただいた。

志をもって起業する、ということを間近で見させてもらった。

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本が出てきた背景を聞いた上で読むと、なるほど、思う。

ゆとり教育のスタンスは、支援から指導へ。

「やれ」から、「やろう」へ。

こうして育った社会人になると、、
・「自分の成長」につながらない仕事に反発
・先輩のアドバイスを無視
・「会社」より「個性」優先
・自分から動かない
などなど。

なかなか理解しがたい「ゆとり社員」に対して、
具体的なケースと対策を述べる。

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世代間ギャップは下の世代に限らない。

「バブルやリストラを経験している30代の
中堅社員は育成機会を逃している」と
あるように、世代間の溝というか断絶
の中で、メンターの不在があげられる。

ボスの受け売りだが、
「本のタイトルが命令形が多いのは、
メンターの不在から」という意見に納得。

というわけで本書は、世代間ギャップに悩む
部下を持つ人、管理職に限らず、前提が
異なる人とどのようにつき合うかという
コミュニケーションの処方箋。

違いがわかることは、
自分の環境を理解するきっかけ。

じぶんもずいぶんこの世代感ギャップに
悩んで来たので、そのための理解と振る舞いに役立つ。

後半の育成計画、業務プロセス表、育成管理表は、
部下を指導し、伸ばすためのアクションプランもあり、
実用書としての有用。

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もうひとつ、このような世代間の課題を
指摘する良書に内田樹の『下流志向』が
あげられる。

教育を経済同様の等価交換の世界で
とらえてきた若者が、社会に出ると
どいういう課題があるかを述べる。

ここにも通じている根底の課題は、
組織を越えて、場やコミュニティといった
個の定義と「人のかかわりかた」にあるとおもう。

※参考
東京で村をつくる
http://d.hatena.ne.jp/sotacafe/20080214

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち