【夫婦という関係】『いくつもの週末』(江國香織)

いくつもの週末 (集英社文庫)

たまには、やわらかいものも。

「結婚を、というよりも夫婦をめぐる3冊」その1。

ある人を単体で語るならひとつの物語で終わる。

しかし、その人にもう一人加えて、
関係を描くと、違う角度でみえる。

この関係の最たるものが、
夫婦ではないだろうか。

その人の、別の側面をみる方法。

●『いくつもの週末』(江國香織

FRaU(フラウ)』7月号
「私はこうして結婚しました」に、
結婚を考えるときの本として紹介されていた。

そこで、何冊か買った中のベスト本がこれ。

作家からみたサラリーマンのダンナの様子。

朝はせわしなく、夜はご飯。さっさと寝る。

ここまで典型的なサラリーマンなのか、
と思いつつ、これが普通かも、と思う。

よくこんな二人が続くなと思うが、
その理由がこの本の存在意義。

世に多くの夫婦がいるなかで、
ここまで赤裸々に語れるのは、著者ならでは。

生活と関係の生っぽさを、きれいに描く。

・・引用

結婚してから生活が色つきになった、と思う。

独身生活にはモノトーンの秩序があり、
最近気がついたのだけれど、私はこの
「秩序」というものを、かなり愛しているのだった。

誰かと生活を共有するときのディテイル、
そのわずらわしさ、その豊かさ。

一人が二人になることで、
全然ちがう目で世界をみられるということ。

色つきの世界というのはたぶん、
依存と関係があるのだろう。

大人にしかできない依存もあるのだと、
夫に出会って知ったように思う。

・・・

大人になるって、人としての成熟って。