『疲れすぎて眠れぬ夜のために』:内田樹
○『疲れすぎて眠れぬ夜のために』
著者の内田樹は神戸女学院の教授でフランス哲学を専門に、
『寝ながら学べる構造主義』『おじさん的思考』でブレイク。
最近では『下流志向』『ひとりでは生きられないの芸のうち』
を出して哲学、身体論をはじめ(本人も合気道六段)、
むずかしい世の中を、ふかく、わかりやすく、
そしておもしろく(文才)読ませてくれる。
身体論とコミュニケーション論を中心に、
個人的な「先生」の一人として、考え方だけではなく
文章の書き方も学ばせてもらっている。
学生時代から、かれこれ6年くらい、
出た本は全て読むようにしている。
・・・
本書は文庫化されたもの。
単行本含めて4回以上読んでいるが、
そのたびに発見がある。
「終わりに」だけでも買う価値があるので
まずはここを引用。
・・・引用
人間が一番無理なく、リラックスしている状態というのは、
誰もいないところで一人でたたずんでいるときではなく、
外部から到来する「声」に静かに耳を傾けているときなのです。
茶を点てるのも、香を焚くのも、美味を味わうのも、
音楽を聴くのも、書物を読むのも、ビジネスをするのも、
どれも目指しているのは同じ構えです。
それは「聴く」ということです。
心耳をを澄ませて無声の声を聴く。
・・・その他引用(赤鉛筆の一部)
・自分では「個性的なものの見方」と思っていることが、
ある世代まるごとに共有されている、「縛り」であるということは、
同世代や同類たちとつるんでいるだけでは絶対にわからないのです。
・「自分の個性を知る」というのは、ほんらい消去法的な作業
・前言撤回をおそれてはならない
・・・
すべてにおいて「聴く」という姿勢をもつこと。
他者に対してひらいているじぶんを置く。
そのための姿勢と作法をまなぶ本。