本のカバーと裏側

子どもの頃、漫画のカバーを
よくなくした。

好きなマンガほどのめりこむから、
カバーと本体のずれが気になり、外す。

カバーをなくさなくなった今も
赤鉛筆をもちながら読むときは外す。

直接本に触れる。距離感が縮まる。

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松岡正剛さんは、本を買ったらまず
カバーをはずして装丁をみるべきだという。

カバーの裏側にはちょっとした
しかけがある本も多い。

村上龍龍のエッセイ、
『すべての男は消耗品である』シリーズの
後半(たしかVol6以降)は単行本のカバー
をめくると、村上龍自身の顔が出てくる。

すこしむすっとして、でもどこか憂いがある。

マジだなと思いながらクールな批判の
裏側にある情熱も読める。

テキストに温度を感じる。


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今、ネットで本を買う場合は
本の表紙だけが出ている。

が、実はカバーの裏側も一つの
コンテンツになるのでは?とおもう。

ネットにおいて本の売れ行きは、
著者名と出版社とタイトルで
かなりの部分が決まるという。

だからこそ、本の情報を違う確度から
ビジュアルで見せる工夫があってもいい。

ネットの向こうには、本を買った自分を
想像している読者がいるから。

・・・

本屋でカバーを外すのは
はばかられるからこそ、
こういう見せ方の工夫があってもいいなと。

と、ともに服の裏地にこだわるのが
昔の粋だったように、カバーの裏にも
こだわりがあると、モノとしての本が
少し見栄えする、とおもう。

・・・

ネット上で蔵書整理と
見せ方を考えながら、
そんなことを思った。