不愉快な人間関係に耐える危うさ


長めの引用。

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現代人の陥りがちな誤解のうち
もっとも危険なもの一つは、
「不愉快な人間関係に耐える能力」
を人間的能力の一つと思いこむことです。

・・・

「耐える」人の場合は、「耐えること」が
自己の中心にあります。それ以外のすべては
「耐える」ことのために動員されます。

時間も、エネルギーも、愛情も、論理的思考能力も
想像力も・・・人間的資源あらいざらいが「耐える」
ことに蕩尽されます。

・・・

逃げ場を見つけられず、そのまま不愉快な人間関係の中に
とどまっているうちに、やがて「耐える」ということが
自己目的化し、「耐える」ことのうちに自己の存在証明が
凝縮されてしまったような人間が出来上がります。


内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」

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文庫化されたので再び読む。

5年前に読んで驚いて以来、
知性ある「おじさん」の存在をおもう。

「オトナが教えてくれないほんとうのこと」の本質。

「耐える人」の末路は満員電車でみかける。

そうならないためにも、本来の意味で
エゴや自分と向き合うこと。

快や不快、不愉快を説明できること。

身体のシグナルに従って判断し、
行動できること。